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痒疹について

2020.05.07

投稿者
クミタス

湿疹においては丘疹、小水疱、鱗屑、痂皮などの症状が見られ、痒疹では丘疹がみられます。特定部位の皮膚が痒く掻いてしまう、また掻いているうちに、かゆみが強くなり、なかなか治らなくなってしまうことがありますが、掻くことで痒疹が形成される面があります。

痒疹には急性痒疹、亜急性痒疹、慢性痒疹、結節性痒疹があり、急性痒疹の原因・背景としては、主に虫刺されが挙げられます。急性痒疹以外では病巣感染、内分泌疾患、代謝異常、金属アレルギー、胃酸分泌異常などの胃腸障害、肝腎障害、性ホルモン失調、内臓悪性腫瘍の存在、心身症、妊娠中期にみられる妊娠性痒疹が原因・背景となっている場合もあり、アトピー性皮膚炎患者さんに痒疹が見られることもあります。
ほかに難治性慢性痒疹・皮膚掻痒症においては、四肢・体幹に激しいかゆみをともなう丘疹が多発し、皮膚掻痒症では明らかな皮膚病変がみられないにもかかわらず、発作的に持続的に全身、局所でのかゆみを生じます。

保険適応外も含め、外用、内服ステロイド、抗ヒスタミン薬、ビタミンD3外用、シクロスポリン内服、光線療法、液体窒素凍結療法、マクロライド内服、生物学的製剤が治療選択肢として挙げられますが、
多形慢性痒疹、結節性痒疹を主体として、数名の痒疹を伴うアトピー性皮膚炎、難治性皮膚掻痒症、後天性反応性穿孔性膠原線維症を対象として新たな治療選択肢を検討評価した結果では、ノイロトロピンを 10 名に使用し 2 名著効、1 名有効、リリカを 10 名に使用し 4 名著効、3 名有効、アレロック倍量投与は 36 名に使用し、著効 2 名、有効 9 名であった。アズノール軟膏は 21 名に使用し、8 名で使用中のステロイド外用薬(ストロンゲストクラス)と同等の効果あるいは症状改善が得られた、との結果も見られています。

かゆみが強く、広範囲に及ぶ場合、難治で慢性に経過する例では、内科疾患との関連で痒疹が出現している可能性もあり、内分泌疾患、代謝異常症、腎障害、肝・胆道系疾患、血液疾患、内臓悪性腫瘍などの全身性疾患などを検索する必要がある場合もあります。
痒疹はアトピー性皮膚炎の外因性に分類されるタイプ(IgE抗体反応が高い傾向にあり、皮膚バリア障害があることが多い、フィラグリン遺伝子変異をもつことが多い、乳幼児期から炎症があることが多い、顔面紅斑、紅皮症、脱毛などが比較的多い)においてもみられ、結節性痒疹は外因性タイプの方に見られる傾向があるとの示唆もありますが、痒疹は内因性に分類されるタイプ
アトピー性皮膚炎における男女での違い
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3831
においてもみられ(内因性でより多いとの示唆もあります)、亜急性痒疹が比較的多くみられるとの示唆もあります。
痒疹、かゆみと対処について今後もアップデートしていきたいと思います。


出典・参照:第35回日本臨床皮膚科医会①シンポジウム9-1 痒疹の乱 浜松医科大学皮膚科教授 戸倉新樹
「改訂 痒疹治療アルゴ リズム 2014」 獨協医科大学越谷病院 皮膚科 片桐一元 ほか

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